「差別化システムの維持・革新の仕組に関する研究」
-ダイナミックビジネスシステム論への展開-要旨
本研究では、商品・サービス自身を実現するオペレーショナルレベルの日々の仕組とは別に、その仕組自体を実現するための「メタシステム(メタ仕組)」という概念を提案する。そしてメタシステムには、①事業の差別化を「維持」するメタシステムと、②事業の差別化を「革新」するメタシステムの2つがあると想定する。
これらのメタシステムを分析し、分かりやすく可視化するフレームワークとして、「ダイナミックビジネスシステム論」を提示することが、本研究の目的である。また理論的には資源ベース戦略論(RBV)、特に根来の「差別化システム論」の拡張・発展を図ることを目的とする。
本研究は事例研究による仮説構築型のアプローチを行う。まずはスルガ銀行「リテール特化戦略」とパナソニックのテレビ事業「Nextセル生産革新プロジェクト」という2つの事例について記述する。
次に上記の事例分析から得た仮説的フレームワークとして、「ダイナミックビジネスシステム論」を提案する。このモデルは、日々の差別化の実現とその仕組の維持・革新を同時に説明するためのフレームワークであり、ビジネスシステムを日々のオペレーションレベルの「差別化システム(DS: Differentiation System)」とメタシステムとしての「維持システム(RS:Reinforcing System)」と「革新システム(IS:Innovating System)」の3つからなると考えるものである。このフレームワークによって、事例企業におけるIS、RS、DSの内容を分析し、IS、RS、DS3者の関係が、事例企業においてどうなっているかを分析する。
キーワード
仕組、差別化システム、ビジネスシステム、メタシステム
掲載
2009年6月掲載