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ユーザー参加型商品評価コミュニティにおける評判管理システムの設計と効果

―相補的役割期待と信頼性の判断材料の影響に着目した分析― 根来 龍之(早稲田大学商学部)
柏 陽平(早稲田大学大学院商学研究科)

要約

 本研究の目的は、ユーザー参加型商品評価コミュニティに実装された評判管理システムが、コミュニティの成果変数にどのような影響を与えるかを論じることである。

 本研究が着目する評判管理システムの機能は2つある。第1に、ユーザー参加型商品評価コミュニティに実装された評判管理システムは、ユーザーを投稿者、投票者、閲覧者の3つの役割に構造的に分化させる点である。本研究は、これらの役割間の相補

的役割期待がドライバーとなって、それぞれの役割行動の遂行が促進されると考える。第2に、評判管理システムが、商品評価情報の信頼性を判断するための材料をユーザーに提供する点である。ユーザー参加型商品評価コミュニティに実装された評判管理システムは、これら2つの機能を果たすことで、コミュニティの成果変数に影響を与える。本研究では、コミュニティの成果変数を、(1)情報の量(投稿数)、
(2)情報の質(信頼性)、
(3)情報の影響力(購買行動時の参考度)、
(4)情報の伝播力で把握する。

 この分析フレームワークに基づき、商品評価コミュニティ「PTP」、Amazonのカスタマーレビュー、価格.comの口コミ掲示板のユーザーを対象にアンケート調査を実施したところ、評判管理システムの上記2つの機能が、それぞれ特定のコミュニティの成果変数に影響を与えていることが確認された。しかし、いくつかの設計項目については、対象コミュニティの成果変数に必ずしもプラスの影響を与え得ていないことも認められた。

 本研究は、この調査結果を基に、本研究の分析フレームワークによって、ユーザー参加型商品評価コミュニティの運営者が、評判管理システムの設計を見直す際の提案を行い得ることを示すものである。

掲載

2004年3月31日掲載

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