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Cisco Systems買収戦略の目的と貢献に関する研究

~内容分析による考察~ 大田 幸嗣(デジタル経営研究センター)
根来 龍之(早稲田大学大学院教授/IT戦略研究所所長)

要旨

 技術進歩の激しいIT業界において、M&Aは、もはや至極当然の経営手法として知られている。しかし一方で、M&Aに関する議論ではその成功率の低さを指摘する声が後を絶たない。そのような中、コンピュータネットワーク機器最大手のCisco Systemsは、M&Aを積極的に経営戦略に取り入れることにより成長してきた企業として広く認知されている。

 「M&Aの失敗率は7~9割[Christensen, Alton, Rising, 2011]」にもかかわらず、同社が、買収戦略を重要視していることを自認し、そして周囲からもその成功率の高さを評価されているのは何故なのだろうか。

 本研究では、M&Aの成功例と言われているCiscoに着目し、その買収戦略の特徴について150件を超える全ての買収案件を対象に分析していく。具体的には、20年間に亘るCisco買収戦略の目的の変遷、企業買収と新製品リリースとの連動性(被買収企業の技術の新製品展開への繋がり)、そして買収発表から新製品リリースまでの期間(新製品展開のスピード)に関して議論する。分析は、2種類のソフトウェア(Key Graph/Evernote)を用い、内容分析(Content Analysis)の手法で進めていく。データ素材としては、Ciscoが公式発表しているプレス・リリースとAnnual Reportを利用する。

 本研究活動により、「人材」と「技術」の獲得に重点を置くCisco買収戦略の特徴を整理し、企業買収が同社の企業発展へどれだけ貢献してきたのかを、定量的なデータを基に示すことを目指す。加えて、内容分析という手法の企業研究への有用性についても確認する。

キーワード

Cisco Systems、M&A、買収戦略、内容分析、プレス・リリース

掲載

2013年7月掲載

PDFファイル

PDF(1.6 MB)

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